ねじまき鳥クロニクル(年代記) 著者 村上春樹
第1部泥棒かささぎ編、第2部予言する鳥編、第3部鳥刺し男編
読後しばらくこの一連の小説について考えている。
「ひとりの人間が、他のひとりの人間について十全に理解するというのは果たして可能なことなのだろうか」
主人公ともいっていい岡田トオルは、問題の核心に到達するために、多くの不可思議な人びとと出会い、多くの不可思議な現実を知り、多くの不可思議な出来事に遭遇した。
それは、果たして小説にのみ起こりうるありふれたノンフィクションなのだろうか。
突然いなくなった妻クミコと義理の兄の綿谷トオル。
予言者なのか人を癒す能力をもつ者なのかよくわからないが、そのときどきで不思議な力を発揮し、岡田トオルにとって少なからず影響を与える本田老人、加納マルタ、加納クレタ、赤坂ナツメグ、赤坂シナモン。間宮中尉、笠原メイ、牛河はいったいどういう関係があるのか。
そして首つり屋敷とそこにある井戸。
この小説は、満州、ノモンハン、シベリアでの悲惨な出来事と現代がそれぞれの登場人物に関わっている。筆者は満州での日本人が行った所業やまた日本人が受けた苦痛が、現代になってもいまだに大きな影響を与えていることをも言いたかったのか。一見平和に見える日本が、未だに満州での出来事同様、何も変わっていないことを訴えたかったのか。
主人公の岡田トオルはその苦悩と苦痛を受け止め、真正面から向き合おうとしたようにも見える。そしてその結果、失踪した妻クミコまでたどり着けた。
そして、岡田トオルが井戸の中にいる間に浮き出た青いアザと、それと同じ青いアザをもつ赤坂ナツメグの父親で満州の動物園の獣医をつないでいる。
加納マルタは言う「ここは暴力的で、混乱した世界です。そしてその世界の内側にはもっと暴力的で、もっと混乱した場所があるのです。」
仮縫い部屋では何がなされていたのか。
井戸とホテルはつながっていて、ホテルで岡田トオルは綿谷ノボルと対決することになる。そこで綿谷ノボルをバットで殺してた。(意識の中でというべきか)
獣医は、動物園で軍人が中国人をバットで殺すのを見ていた。
再び井戸にもどったときは、アザが消えていた。
綿谷ノボルには特別な力があったが、それは分からない。
ねじまき鳥とはいったい。岡田トオルやねじまき鳥がねじを巻く音を聞いていた。動物園で動物を射殺した青年軍人もねじまき鳥の声を聞いた。おそらく赤坂シナモンも子供のころねじ巻き鳥の声を聞いた。
そういえば、「ノルウェイの森」でも、僕は朝ねじを巻いていたが、ねじを巻くとう行為は時間を進める(それはときには強引に)行為の象徴なのか。
とにかく、咀嚼不十分で、もう一度読みたくなる本である。
最近のコメント